横浜市立大学大学院 医学研究科 幹細胞免疫制御内科学血液・リウマチ・感染症内科

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研究研究

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リウマチ・膠原病グループ

膠原病における自然免疫系の機能解析

ベーチェット病のレジストリ解析

ベーチェット病は症状が多彩な疾患ですが、なかでも特殊型は重症です。私達は患者さんの症状、血液データ、遺伝子情報を基に、特殊型の予測因子の解明、病態解明、重症度分類、診断基準の改定、治療予測などを目指した全国的な疾患レジストリを構築しています。横浜市立大学附属病院ベーチェット病診療研究センター(センター長:水木信久先生)、厚生労働省ベーチェット病研究班(班長:日本医科大学岳野光洋先生)、AMED、科研費などの公的支援の基、本研究を進めています。またマウスなどを用いた基礎研究も推進しています。国外との共同研究(イスタンブール大学、NYU)も推進しています。

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<参考文献>

  • Kirino Y, et al. Continuous evolution of clinical phenotype in 578 Japanese patients with Behçet’s disease: a retrospective observational study. Arthritis Res Ther, 2016, 18(1):217.
  • Kirino Y, Nakajima H. Clinical and genetic aspects of Behçet’s disease in Japan. Intern Med, 2019, 58(9):1199-207.  
  • Kirino Y, et al. Genome-wide association analysis identifies new susceptibility loci for Behçet’s disease and epistasis between HLA-B*51 and ERAP1. Nat Genet, 2013, 45:202-7.

成人スティル病における高フェリチン血症のメカニズム解明

血清中のヘム分解酵素(HO-1)が成人スティル病で上昇していることを報告しました。このHO-1は特にM2マクロファージに多く発現していることが分かっています。米国NIH(Dr Mike Ombrello lab)など国内外の共同研究を通じて、AOSD診断へのHO-1の有用性や高フェリチン血症の機序解明を検討しています。

<参考文献>

  • Kirino Y, et al. Beneficial use of serum ferritin and heme oxygenase 1 as biomarkers in adult-onset Still’s disease: a multicenter retrospective study. Mod Rheumatol, 2018, 28(5):858-64.
  • Kirino Y, et al. Increased serum HO-1 in hemophagocytic syndrome and adult-onset Still’s disease: use in the differential diagnosis of hyperferritinemia. Arthritis Res Ther, 2005, 7:R616-R624.

Extreme phenotypeを呈する成人自己炎症性疾患の原因遺伝子同定

家族歴を有する膠原病患者では強い遺伝学的背景が予想されます。本学遺伝学講座(松本直通先生)・ゲノム診断科(土田奈緒美先生)や米国NIH(Dr Daniel Kastner lab)との共同研究を通じて、全エキソーム解析を用いた責任遺伝子の同定を目指します。

<参考文献>

  • Tsuchida N, Kirino Y, et al. Haploinsufficiency of A20 caused by a novel nonsense variant or entire deletion of TNFAIP3 is clinically distinct from Behçet’s disease. Arthritis Res Ther, 2019, 21(1):137.
  • Kirino Y, et al. Targeted resequencing implicates the familial Mediterranean fever gene MEFV and the toll-like receptor 4 gene TLR4 in Behçet disease. Proc Natl Acad Sci USA, 2013, 110:8134-9.

免疫チェックポイント阻害剤による免疫関連有害事象の研究

免疫チェックポイント阻害剤を使用すると免疫関連有害事象(irAE)が発症することがあります。本研究では本学呼吸器内科・皮膚科・泌尿器科・耳鼻咽喉科・臨床腫瘍科と共同でirAEと関連する因子を解析しています。

遺伝子発現制御機構を中心とした膠原病疾患病態の分子メカニズムの解析

当科では膠原病疾患の病態が形成される際に重要と考えられる遺伝子の発現制御機構を分子レベルで解析し,新しい治療戦略の確立や創薬に役立てることを目標にしています.そのために,以下のような基礎研究・トランスレーショナルリサーチを行っています.

膠原病疾患の病態形成におけるタンパク質ユビキチン化修飾の役割について

膠原病疾患は一般的に自己免疫反応によって引き起こされる炎症が原因であると考えられていますが,その発症機序はよくわかっていません.近年,Toll様レセプターなどのパターン認識受容体を介したシグナルの異常が自己免疫反応につながることが知られるようになりました.当科ではこれらのシグナルと関連が深いE3ユビキチンリガーゼファミリーであるTRIMファミリーとその基質となる転写因子群IRFファミリーに注目しています.
TRIMファミリーに含まれるTRIM21は,IRFファミリーをユビキチン化することによって炎症性サイトカインやI型インターフェロンの産生を制御しています.また,TRIM21によってユビキチン化されるIRF8は樹状細胞やマクロファージにおいてインテグリンの発現亢進を介するTGFβシグナル伝達系を活性化するなど,自己免疫反応に重要なTh17細胞の働きを強めます.
全身性エリテマトーデスの患者さんでは血球のI型インターフェロン誘導遺伝子の発現やB細胞から形質細胞へ分化が亢進しています.当科では患者さんの血液検体やTrim21遺伝子を欠失させた疾患モデルマウスを用いて,TRIM21がIRFファミリーをユビキチン化する機能が低下することがその原因であることを明らかにしてきました.さらに,TRIM21に対する自己抗体(抗SS-A抗体の一部)が陽性の患者さんにおいて特に上記のような異常が強くみられることから,TRIM21の機能不全に自己抗体が関連している可能性があります.しかし,血清中の抗TRIM21抗体がどのようにして細胞内に存在するTRIM21の機能に影響を与えるのか,という点については現時点でまだ不明ですので,様々な実験により現在解析を進めています(下図).そのほか,当科では広く様々なTRIMファミリーやIRFファミリーについて膠原病の病態形成に関与しているかどうか遺伝子改変マウスや患者さんの末梢血を用いて解析しています.

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<参考文献>

  • Kunishita Y, Yoshimi R et al.: TRIM21 Dysfunction Enhances Aberrant B-Cell Differentiation in Autoimmune Pathogenesis. Front Immunol. 2020, 7;11:98.
  • Kamiyama R, Yoshimi R et al.: Dysfunction of TRIM21 in interferon signature of systemic lupus erythematosus. Mod Rheumatol. 2018, 28:993-1003.
  • Chang T-H, Yoshimi R et al.: Tripartite Motif (TRIM) 12c, a mouse homolog of TRIM5, is a ubiquitin ligase that stimulates type I IFN and NF-κB pathways along with TNFR-associated factor 6.J Immunol. 2015, 195: 5367-79.
  • Yoshida Y, Yoshimi R et al.: The transcription factor IRF8 activates integrin-mediated TGFβ signaling and promotes neuroinflammation. Immunity. 2014, 40:187-98.
  • Yoshimi R et al.: Gene disruption study reveals a nonredundant role for TRIM21/Ro52 in NF-κB-dependent cytokine expression in fibroblasts. J Immunol. 2009, 182:7527-38.

膠原病疾患の病態形成におけるマイクロRNAの役割について

膠原病疾患のひとつである皮膚筋炎・多発性筋炎ではステロイドや免疫抑制剤の使用により近年生命予後が改善されてきています.その一方で,現在でも急性進行性間質性肺炎などの合併によって救命が困難な場合がみられます.当科ではこれまでに当科関連施設を含めた多施設共同疾患データベース(Yokohama City University Rheumatic disease Database; Y-CURD)を利用して皮膚筋炎・多発性筋炎における後向きの疫学研究を行い,予後が不良となる因子や感染症リスク因子を明らかにしてきました(下図).
さらに当科では,予後や治療反応性を推測できるバイオマーカーとしてマイクロRNAに注目しております.マイクロRNAはタンパク質をコードしない非翻訳領域から成る22塩基前後のRNA分子です.近年,マイクロRNAが遺伝子の転写後調節に関与することが明らかとなり,がんや免疫の領域において病態への関与や疾患マーカーとしての有用性が注目されています.このうちmiR-1というマイクロRNAは筋細胞の分化増殖に関与し,炎症性筋疾患の筋組織においてその発現が低下することが報告されています.当科では,皮膚筋炎・多発性筋炎において血清中のmiR-1量はむしろ増加しており,間質性肺炎合併例においてmiR-1の量が多いほど治療開始後のステロイドが減量しにくく重篤な感染症の合併が多いことを明らかにしました.
現在,どのような機序で血清中のmiR-1量が増加し,病態に関与しているのかを解析するとともに,広く膠原病疾患の病態における様々なマイクロRNAの役割について研究を進めています.

図

<参考文献>

  • Sugiyama Y, Yoshimi R et al.: miR-1 is a novel biomarker for polymyositis/dermatomyositis-associated interstitial lung disease. Mod Rheumatol.2019, doi: 10.1080/14397595.2019.1661584. [Epub ahead of print]
  • Yoshimi R, Sugiyama Y: Prognostic factors for PM/DM-ILD. A dilemma of treatment intensity? Atlas of Science. 2019, http://atlasofscience.org/prognostic-factors-for-pm-dm-ild-a-dilemma-of-treatment-intensity/
  • Sugiyama Y, Yoshimi R et al.: The predictive prognostic factors for polymyositis/dermatomyositis-associated interstitial lung disease. Arthritis Res Ther. 2018, 20:7.

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